ご挨拶 佛立研究所所長 岡居日実

研究は好奇心(curiosity)

はじめに

 10月13日付けで向井日報師より所長のお役を引き継がせていただきました岡居日実です。浅学非才でその任に耐えられるか心配ですが、幸いにも良き役員や研究員に恵まれました。諸先輩のご指導をいただきながらご奉公を進めさせていただく所存です。今後とも相変わりませず研究所へのご支援、ご協力を賜りますようにお願い申し上げます。

研究とは好奇心

 さて、佛立研究所も創立以来6期目。まもなく創立30周年を迎えます。人間に譬えると30歳で、早や「中年」。気力・体力が衰えはじめ、研究姿勢にも倦怠期を迎えていないか心配です。
 先日、2018年ノーベル生理学賞に京都大学の本庶佑教授が選出されました。
その受賞会見で本庶教授は
「研究とは好奇心(curiosity)」
「簡単に(これまでの通説や常識を)信じないこと」
と、ご自身の研究姿勢を披瀝されました。
 分野は何れにしても研究者の原点をそこに感じました。果たして現在の佛立研究所に「好奇心」と「簡単に信じない」という姿勢があるだろうかと。

生命倫理に取り組む

 宗門では高祖日蓮大士ご降誕800年慶讃ご奉公第2年度を迎えます。本年度の佛立研究所は2022年にお迎えする「高祖日蓮大士ご降誕800年」を念頭に、特に宗門の基本方針である「世にともしびを 人にやすらぎを」を踏まえ、「教化・法灯相続 つづれ織り」運動の達成を期しつつ宗門の唯一の研究機関としてのご奉公を進めたいと存じます。
 第6期より教学研究部門はご降誕800年慶讃ご奉公に資するべく高祖日蓮大士の研究を、弘通研究学部門は宗門中長期計画の敷延として人口減少と高齢社会によるご弘通上の課題と対策をテーマに研究を始めました。そこで、本年度の教学部門は「謗法」をテーマに高祖の御妙判から「高祖の謗法観」について研究をさせていただきます。弘通学部門は昨年度に引き続き「人口減少と高齢社会が及ぼすご弘通への影響と課題」の踏査研究と5年ごとに実施している『第3回青少年の信心に関するアンケート』の分析です。
 さらに本年度は両部門の合同研究として「現代における性のあり方の多様性(LGBT・セクシャリティの研究)」をテーマに“現代社会の諸問題に対する佛立的解釈の試み”の端緒を開きたいと思います。今後は両部門共に踏査研究を重ねてデータの集積と解析、および宗内外から専門家を招いて研究員の研鑽に努めると共に高祖日蓮大士750回御遠諱を視野に入れた体制づくりを進めます。

新時代に向けて、研究所内は「ペーパーレス」

 明年はいよいよ新しい元号を迎え、世の中は新時代感を誇張するように思われます。研究所も新時代到来の波に乗り、進取の気象に富む中年になろうと思います。そこで手始めに研究所内で「ペーパーレス」を始めます。「情報の管理や伝達に果たして本当に紙が必要なのか」、好奇心を持って、常識を簡単には信じないで「ペーパーレス研究所」をスタートさせます。
 今後とも「お役に立つ佛立研究所」をめざします。よろしくお願い申し上げます。

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