イタリア紀行①
2012年10月28日(日)
 

 本年5月18日より10日間、福岡日雙導師のお招きで、香風寺フィレンツェ別院にお参詣させていただきました。

 前日の5月17日には、先住日宏上人の御13回忌を自坊でお勤めし、ローマ3泊、ナポリ3泊、フィレンツェ4泊の旅行日程を立て、15年ぶりの家族4人だけの気楽な旅行をさせていただきました。


 長男はイタリア語を少々話すことが出来ますし、又、次男は昨年、イタリアに単身で旅行していましたので、言葉と地理が分かっていれば恐いものはありません。しかし、ここに親としての権威は失墜し、「長幼の序」は「幼長の序」となり、親子としての竪の関係は逆転してしまったことは事実であります。


さて、世界遺産の3分の1を有するイタリア、その首都であるローマのフィウミチーノ空港に13時間を費やし、喧騒たる空港でタクシーの運転手と料金的なこと(倍以上の値段を要求する)で長男がスッタモンダの交渉の末、ホテルに無事到着、と思いきや、フロントの男性から部屋のシャワーの調子が悪いから、同系列のホテルに移動して欲しいとのこと、又荷物を積み直して、やっとのことでチェック・イン。

翌日ウェスパシアヌス帝の命により紀元80年に完成した円形闘技場「コロッセオ」に向かう折、タクシーに乗ろうとしたところ、長男から「何故、タクシーなんかに乗るの?1ユーロ(約100円)で地下鉄は乗り放題なのに。」と言われて以来、移動方法は徒歩とバスと地下鉄が中心となりました。

やっとのことで、「コロッセオ」に到着、今まで見た写真と実物とでは大違いです。たどりつくまで遠いこと、遠いこと、大きいこと、大きいこと、中に入り、階段を登るのもひと苦労、降りるのもひと苦労、ヘトヘト、「地球の歩き方」そのものでした。

 

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 ローマでは他に、スペイン広場、サンタンジェロ城、ピエトロ大聖堂等を見学し、ローマ帝国がヨーロッパ全土を支配し、この国の文化がヨーロッパの基礎になったのかと思うと、あらためて、イタリアの歴史の深さに感心させられました。

 ところで、私達の行動に話はかわりますが、親子という立場は逆転していますから、ユーロを所持しているのは息子達です。私達夫婦はポケットに、コインを所持しているだけで、ホテルの枕銭くらいしか持ち合わせていませんでした。たまりかねた私は「ネェ、ちょっとお金頂戴」とおねだりしなければならない有様です。


 更に悪い事に、イタリアでは路上でタバコのポイ捨てなど平気で行われている公衆道徳の非常に悪い国にもかかわらず、近年、屋内は禁煙になり、それを知らなかった私はホテルのロビーの机の上に灰皿らしき物が置かれていましたから、タバコを吸っていますと、フロントの女性から、こっぴどく叱られまして顔面蒼白、親の権威は益々失墜してしまいました。


しかし、私の親としての権威失墜もここまで、と言いますのも、ローマ在中のホテルは息子がインターネットで予約したホテルでした。後のナポリ、フィレンツェのホテルは妻と二人で、インターネットで予約したホテルで、同じ金額にもかかわらず、息子が予約したホテルは日本のビジネスホテルに毛が生えたくらいのものでした。私は「今に見ていろ」と腹の中で、虎視眈々と臥薪嘗胆の思いで親の権威回復の時機が来るのをじっと待っていました。なんやかんやあった「ローマの休日」はまたたく間に終わりました。―つづく―(R・K)


【写真はコロッセオ】

《平成26年に香風寺イタリア・フィレンツェ別院にて講有巡教が奉修されます。ぜひ皆さんお参詣しましょう!!》