平成18年11月28日に「第26回公開講演会」を開催した。当日は「笑う介護士」として有名な袖山卓也氏を講師にお招きして『高齢者に寄り添う介護のポイント』と題して講演いただいた。

袖山氏は「福祉に資格なんて必要ない」との理念で、自身が施設長を務めるセンターでは、ほとんど無資格・未経験の職員を集め、そのサービスは、現在多くの注目を集めている。そして、テレビや雑誌等の各メディアにも大きく取り上げられ、紹介をされている。さらには執筆活動にも力を入れ、本の出版もしておられる。また、多くの人材を育成するかたわら、老人ホームの経営の再建や、現場指導もしておられ、自分にとって「介護は天職です」と語り、寸暇を惜しんで活動をされている。

特に今回の講演で印象づけられたのが「介護にとって大事なのは、自分は人であって、相手も人です。同じ人間同士、心があれば必ず心に伝わる。普段から人を見ること。例え認知症の方であっても、一人一人違うのだから、その人の生活スタイルに合わせるのです。介護は、する人の思いや感情は必ず相手に伝わるのだから、誠意を持って接し続けることが大切」さらには「介護ということを見つめる時、自然なお手伝いをする中で、笑いがある。相手の気持ちをどう理解するかが、大事なのです。」とお話しいただいた。

 

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 私ども宗門寺院においても、急激に進む高齢化社会から、目を背けることは決して出来ない。一つの時代を築き、寺院発展のために尽くされた高齢のご信者への配慮・対応など、大いに考えさせられるお話であった。

それとともに、高齢者へのアプローチの仕方は「御議席」「お助行」「教化・下種結縁」等の場面においても、大変参考となる公開講演であった。